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NSXのスーパーGTマシンやモトGPレーサーも!? ホンダ学園・ホンダテクニカルカレッジ関東校で見られるスゴイマシン

[ 2025年8月19日 18:00 ]

エントランスでカブ&モンキーから4輪2輪のレーシングマシンがお出迎え

ホンダ学園・ホンダテクニカルカレッジはホンダ直系の学校。その校内にはあちこちにクルマやバイク、エンジンなどが展示されている。特にエントランスは小さいながら展示スペースとなっており、身近な車両からレーシングマシンまで、クルマやバイクが並べられている。

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ホンダ学園・ホンダテクニカルカレッジ関東校のレポートはこちら。

まず、入口を入ると左右にはホンダを代表するバイクであるスーパーカブとモンキーが並べられている。スーパーカブは1958年から、モンキーは1967年(その原型は1961年)から販売されているホンダ伝統のバイクだ。

入口のスーパーカブとモンキー。スーパーカブはピンクのカラーで『天気の子』バージョンかと思いきや、カモメハンドルのオールドモデルだ。
スーパーカブの向かい側はモンキーが3台並ぶ。右端はスーパーカブとお揃いのピンクで、揃いのドレスアップになっているようだ。

エントランスは展示スペースとして整えられており、ちょっとしたミュージアム的な雰囲気になっている。そこにはドリームCB72スーパースポーツやスーパーGT仕様のNSX、S660、ゴールドウイング、RC212V、NR750などが展示されていた。

ホンダ学園・ホンダテクニカルカレッジのエントランス。
ホンダの元祖レーサーレプリカとも言えるドリームCB72スーパースポーツ。1960年から1968年まで販売された。
スーパーGT仕様のNSXとS660。
NSXとCB72。NSXのリヤスポイラー翼端版にある「THE BUFFALO DESIGN」は埼玉県狭山市のデザイン会社で、看板制作やロゴデザイン、カーラッピングなどを手掛ける。
来歴はわからなかったが、2021年の春の体験入学でお披露目されたラッピング車両のようだ。
テスト車両のようなシンプルな外観で、ステッカーなどはホンダとホンダテクニカルカレッジのみ。
同校には2004年全日本GT選手権優勝車のTAKTA NSXがあったようだが、それがベースになっている?
フロントタイヤ。VOLK RACING製ホイールにブリヂストンタイヤを装着。
リヤタイヤ。ブレーキは前後ともにアルコン。

さらに、エントランスの一番奥にはモットーと共に3台のバイクが並ぶ。ホンダの一方のフラッグシップバイクであるゴールドウイング。モトGPで活躍したレーサーRC212V。そして、ホンダバイクの挑戦の証とも言えるNRだ。

エントランスの奥に展示された3台のバイク。パネルにはホンダの精神が掲げられる。並んでみるとゴールドウイングが如何に大きいバイクか、モトGPマシンが如何にコンパクトかがわかる。そして、ゴールドウイングは展示の際になぜかテディベアを載せていることが多い?
ホンダがWGP(今のモトGP)で2ストロークエンジンに4ストロークエンジンで対抗するために開発した楕円ピストンエンジンを搭載した世界唯一の市販車NR。
1990年発表、1992年発売。RC40という型式名にレース直系のDNAを感じる。
エンジンは747ccV型4気筒DOHC32バルブで、130ps(国内自主規制77ps)。
市販車離れしたカーボン地の外装。300台限定だったが、520万円という価格とバブル崩壊が重なり、店頭在庫が残ったという話も……。
ホンダのモトGPマシンRC212Vは、2007年からモトGPクラスの排気量が990ccから800cdに変更されたため、V型5気筒エンジン搭載のRC211Vの後継としてV型4気筒エンジンを搭載して登場。2011年まで使用され、2011年には久々にケーシー・ストーナーとホンダでダブルタイトルを獲得している。
展示車両のゼッケン69は、RC211Vで2006年のチャンピオンを獲得したニッキー・ヘイデン選手(2017年他界)。同選手は2007年と2008年にRC212Vを駆っている。
RC212Vのハンドルまわり。意外と当時のレーサーレプリカやスーパースポーツ違いが無い外観に見える。もちろんメーターは回転計のみ。
ゴールドウイングの水平対向6気筒エンジンも単体で展示されていた。奥のトロフィーは同校のミニバイク部が獲得したもの。

伝説の”ブラバム・ホンダ”を角田裕毅選手がドライブ

また、エントランスにはブラバム・ホンダが展示されている。ブラバム・ホンダといえば、ブラバム製BT18シャシーにホンダエンジンを搭載したフォーミュラ2(F2)が有名だが、同校に展示されていたのはS800のエンジンを搭載したBT16A。同車は1965年にホンダRSC(現・HRC)によりホンダと親交が厚かったブラバムから20台が導入され、主に鈴鹿サーキットのスクールカーとして活用されたものだ。

エントランスに 展示されるブラバム・ホンダBT16Aのレストア車。
ミッドシップに搭載されたS800のエンジン。排気管は4-2集合で2本出し。
前からエンジン・デフ・トランスミッションの順に並ぶ。
ダブルウィッシュボーン形式のフロントサスペンション。
ブレーキはソリッドディスクに対向2ポッドキャリパー。
リヤサスペンションもダブルウィッシュボーンだが、アッパーアームのフロント側はエンジンより前にマウントれ、ロワアームは逆三角形+アッパーアーム同様にエンジン前にマウントされるアームという組み合わせ。ブレーキはフロント同様にディスク+対向2ポッド。
リヤコンパートメントのパイプフレーム。写真右が前。写真下のシルバーのパイプはリヤサスペンションのロワアーム。フレームの内側にあるシルバーのパイプはシフトリンケージ。
コックピット。ハーネスは非オリジナルでTAKATA製を装着。ステアリングのレプコブラバムは、当時のブラバムチームを支援するオーストラリアの自動車用品店。同ブランドはブラバムにエンジンを供給し、1966年にはジャック・ブラバムとブラバムチームがダブルタイトルを獲得している。
ステアリングの右側にはシフトレバーがあり、車両最後端のトランスミッションまでシフトリンケージが伸びている。シフトパターンはHタイプで5速で、リバースは左上。メーターは左から水温(スミス製)、回転(デンソー製)、油温(スミス製)のレイアウト。レッドゾーンは8500回転から。
真正面。”葉巻”時代のフォーミュラマシンは、このフロントダクトの中にラジエーターを配置する。
真後ろ。トランスミッションはレーシングカーではお馴染みのヒューランド製。

同車は学生のプロジェクトによりレストアされ、レストア完了後は「Honda Racing Thanks Day 2023」で、F1ドライバーの角田裕毅選手とダニエル・リカルド選手がドライブしてお披露目されている。

フロントカウルには角田裕毅選手(ゼッケン22)とダニエル・リカルド選手(ゼッケン3)のサインが入る。ゼッケンは2023年シーズンのもので、両選手はホンダエンジン(レッドブルパワートレインズ)を搭載したアルファタウリ(最終年)に所属していた。

市販レーサーのスケルトンモデル!?

ホンダのスーパーバイク選手権ホモロゲーションマシンの2台も見ることができた。1台は国内限定1000台があっという間に完売して伝説となったRC30型のVFR750R。しかも、カウルが透明なスケルトンモデルとなっており、中身が見えるようになっているのだ。

VFR750R(RC30)のスケルトンモデル。ウインカーやミラーが付いているので、完全なレーサーではなく市販モデルのようだ。
フロントカウル内。
シートカウル内。
左フロント
左リヤ
右リヤ

もう1台がVFR750R(RC30)の後継モデルとなったRC45型RVF750Rだ。こちらはスケルトンカウルではなく、通常のカウルだった。

RVF750R(RC45)
RVF750R(RC45)
RVF750R(RC45)

無限製レーシングエンジン「MF204」が間近に見られる

校内には階段の踊り場など、そこかしこにエンジンが展示されていたりするのだが、講堂前には無限製のF3用エンジン「MF204」が展示されていた。他の展示物もそうだが、特に柵などなど間近に隅々まで見られるのが、学校の展示物らしい。

無限MF204エンジンはRC30型VFR750Rの隣に展示。RC30は「RC30-01」のナンバーを付けており、1号車なのでは?と思わずにはいられない。
カムギア側。ベルトの取り回しがよくわかる。
ヘッドカバー。
クラッチ側。クラッチはAPレーシング製。
インテークマニホールドとインジェクション。
インダクションボックス側。
エキゾーストはパネルで塞がれていた。
MF204の刻印。

学生によるレストアプロジェクトにより復活した旧車

同校では旧車のレストアも行われており、50周年記念事業の「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」参戦車両となる初代シビック1200RSのレストアが現在進行形で進められている。

参戦車両のうちの1台、2号車となる「マドリード号」。
本田宗一郎が創立して50周年!ホンダ学園・ホンダテクニカルカレッジって知ってる?ホンダ就職への最短ルート? | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム
「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」参戦プロジェクトについてはこちら。

それ以前にも朽ち果てた状態にある旧車をレストアして復活させており、完成車で同校のある埼玉県ふじみ野市から北海道にあるホンダのテストコース「鷹栖プルービンググラウンド」まで約1600kmを走らせている。もちろん、「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」参戦車両も完成の暁にはテスト走行として、同行程を走ることになる。

校内に留置されているベース車両。この状態からレストアする。

取材ではこれまでのレストア実績としてN360とS800が展示されていた。いずれもレストア後に北海道までのテスト走行をこなしている。さらに、S800は全日本ラリーヒストレックチャレンジに挑戦するほどの仕上がりだ。

N360のレストア車。
S800のレストア車。2023年の「新城ラリー2023」に参戦している。

実習車には最新モデルではない意外なクルマの姿も……

校内にはさまざまな実習車が停めてあるのだが、ディーゼル車実習用のホライゾン(いすゞ・ビッグホーンのOEM車)や、初代NSXの北米仕様であるアキュラNSXの姿も見られた。

実習車駐車スペースに停めてあったホライゾンはディーゼル実習用だとか。
ホンダ・ホライゾン
ホンダ・ホライゾン
ホンダ・ホライゾン
校内用のナンバーを付けたアキュラNSX。
アキュラNSX
アキュラNSX
アキュラNSX
アキュラNSX

などなど、今回の取材で撮影できたもの以外にも、階段の踊り場にいろいろなエンジンが展示されていたり、学生フォーミュラの車両が展示されているなど、同校にはクルマもバイクも、乗用車もレーシングマシンも、ホンダファン垂涎のマシンやパーツが見ることができる。学校公開やオープンキャンパスなどのタイミングで、ぜひ見ておきたいところだ。

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